絶滅危惧種
中村信哉の苦悩 
〜苦しみの果てに〜



先日、小包が届いた。

“命の瀬戸際にあった柴犬”ポチ(仮名)の飼い主様からである。

御礼の品に手紙が添えてあった。

「先生と佐藤さんがいなかったら、今頃ポチは・・・。本当にありがとうございます」

涙が止まらなかった。
お利口にしているとの報告にだけではない。
この犬にはあまりにも思い出が多すぎた。

1年半在籍した。過去最長である。
その間飼い主様はただの一度も、ただの一度も「いつ帰れるのか?」とは聞かなかった。

ただ私とリベロ佐藤を信じてくれた。

今だから言うが私は何度となく諦めかけた。

考えてもみてほしい。
半年間ろくに触ることもできない犬に先があると思えるだろうか・・・。
反応はかつて見たことのない拒絶反応、狂ったような咬みつき方、馴れるなんて到底思えない・・・・。

直感的にそう感じた。

「どんな犬でもお利口になる」というトレーナーがいる。

「だからあんたらは無責任だと言うんだ」(ガンチ)

それは私のセリフだ、ガンチ・・・。

「どんな犬でもお利口になる」か・・・・。

そんな事軽々しく口にすべきではない。人も犬もどれほどの精神的苦痛を味わうと思っているんだ。

希望を持つのは結構だがプロはどれぐらいやれば変わるかおおよその検討がつくものである。 ところがポチに関してはまったく検討もつかなかった。

来る日も来る日も同じ事の繰り返し、進みたくても進めない、そのジレンマには精神が破壊されそうになる。 咬む犬を訓練できないトレーナーが増えるのはよくわかる。朝から晩まで頭をよぎる最悪の結末・・・。誰だってそんな苦しい毎日を送りたいわけがない。

私がリベロ佐藤を最初に泣かしてしまったのもポチの訓練を見た時だった。

「あっ!いけね・・・泣かしちゃった。入門したての女の子にはインパクトが強すぎたかな」 なんて大慌てした事を覚えている。

ずいぶん変わったとは言え、まだまだ咬む恐れのある咬癖犬を担当させたのもポチが初めてだった。


そういえばポチの飼い主様と最初にお会いした時に腕に包帯を巻いていたっけな・・・。
そういえばポチも何件もの警察犬訓練所に断られたんだっけな・・・・。
飼い主様が連れてきた時には金網のサークルだったから車嫌いのポチは大パニックで脱糞して車の中が糞だらけだったけな・・・。そのポチがドライブに行けたんだよな・・・。
あんなにポチの事を怖がっていた飼い主様がそのポチに顔を見上げられて喜んでたっけな・・・。


どれぐらい泣いただろう・・・。


信じてもらえる・・・こんなに心強いことはない。

だがその信頼に応えることができなかった時の自分の無力さを考えるとこうして自分が訓練の世界に携わっていられることが申し訳なくもあり、感謝の念に堪えない気持ちでもある。


「こちらこそありがとうございます。」


誰かの喜びと哀しみの上に今の私がある。


ガンチ:このコーナーに出てくるフィクション犬であり私の心の叫びとリンクしている。ちょっとガラが悪いが気
      にしなくていい。ガンチの行動は過去に出会った半端じゃない犬たちをモデルにしています。これから
      時々登場しますのでどうぞよろしく!

 コマンダーさん:元グリーンベレーの隠居のおじいさんでガンチの飼い主
 ゴードンさん:コマンダー家の隣に住むフリーライター 
 サリー:ゴードンさんの愛犬

























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